森じゅうに、
水が巡っている。
名水百選の尚仁沢湧水を、途中まで歩きました。澄んだ流れと苔むす森、遊歩道の様子を紹介します。
栃木県塩谷町にある「尚仁沢湧水(しょうじんざわゆうすい)」の遊歩道を歩いてきました。
今回は源泉までは行かず、遊歩道を途中まで散策して引き返しました。それでも、透き通った水、岩の間を勢いよく流れる渓流、苔むした岩や倒木と、印象に残る景色がたくさんありました。
水辺はもちろん、そこへ向かう森の道も含めて、尚仁沢ならではの雰囲気を楽しめる場所です。
料金
無料
駐車場
無料・20台
源泉まで
徒歩約30分
名水百選の湧水と、森の遊歩道
尚仁沢湧水は、塩谷町のシンボル・高原山の中腹にある湧水群です。昭和60年(1985年)に名水百選に選ばれました。塩谷町によると、十数カ所から湧き出す水は四季を通じて水温11℃前後で、冬でも涸れたり凍ったりすることがないそうです(塩谷町「尚仁沢湧水」)。
駐車場から源泉までは、森の中の遊歩道を歩いて約30分。町の遊歩道マップでは、途中にある取水堰の先から急な上り坂になると案内されています。
今回は無理のない範囲で、途中まで歩いてみることにしました。
序盤に現れる取水堰
遊歩道に入って比較的早い段階で現れるのが、取水堰(しゅすいぜき)です。
横一列に水が勢いよく落ちていて、なかなかの迫力。町の遊歩道マップによると、尚仁沢の水はここから東荒川ダムへと流れていきます。
森の奥まで歩かなくても、散策の序盤から豊かな水の流れを見ることができます。
水辺へ向かう道は、トトロのような森
取水堰を過ぎて先へ進むと、景色はだんだん森らしくなっていきます。
木々に囲まれた細い道。地面には木の根が伸び、道のまわりには苔や草が広がっています。個人的には、『となりのトトロ』に出てきそうな森を歩いているような感覚でした。
一歩ずつ森の奥へ入っていくような道で、ここを歩いている時間そのものも、尚仁沢散策の楽しさのひとつでした。
尚仁沢は、やっぱり水がきれい
水辺まで来ると、まず目を引いたのが水の透明感です。
流れの穏やかな場所では、川底にある石の一つひとつまでよく見えます。場所によっては、少し青みを帯びて見えるところも。
写真でもある程度伝わりますが、実際に見るとかなりきれいでした。
少し場所を移動すると、景色は一変します。
岩の間を大量の水が流れ、白く泡立つ場所もあります。穏やかな清流と、勢いのある流れ。どちらも見られるのが印象的でした。
森のあちこちを、水が流れている
尚仁沢を歩いていて面白かったのが、森のいろいろなところを水が流れていることです。
大きな岩の間から水が落ちて、小さな滝のようになっている場所もありました。森全体に水が巡っているような印象で、歩いている間はあちこちから水の音が聞こえてきます。
十数カ所から湧き出す豊富な水量は、尚仁沢湧水の大きな特徴。その豊かさを、歩きながら実感できます。
苔むした倒木と岩にも、風情がある
個人的に、水と同じくらい印象に残ったのが苔です。
倒れた大きな木には、緑色の苔がびっしり。朽ちた木の上に苔や植物が育ち、また森の景色の一部になっていく。そんな自然らしい風景が残っています。
川の中の岩にも鮮やかな苔。水と苔と森の緑が重なる風景は、ずっと眺めていたくなる良さがありました。
小さなトンボも発見。
こういう小さな生きものを探しながら歩くのも楽しい場所です。
遊歩道は歩きやすい靴で
遊歩道には、木の根や石が出ている場所もあります。町の遊歩道マップでも、取水堰の先は急な上り坂になるとして、足元への注意を呼びかけています。
栃木県農政部の「とちぎの農村めぐり特集」の尚仁沢湧水の紹介でも、道中には足元が不安定な場所があるとして、最低限スニーカー、できればトレッキングシューズがすすめられています。その日の路面の状態や体力を見ながら、無理のない範囲で歩くのがおすすめです。
尚仁沢ではヤマビル対策を
尚仁沢を散策するときに気をつけたいのが、ヤマビルです。現地にも注意を呼びかける案内がありました。
同じ県農政部の紹介では、ヤマビルがいるとして長めの靴下を履いていくことがすすめられています。
肌の露出を少なくした服装で出かけると安心です。散策を終えたら、足元や服にヤマビルが付いていないか確認しておきましょう。
源泉までは行かず、途中で引き返した
尚仁沢湧水の源泉は、今回歩いた場所からさらに遊歩道を進んだ先にあります。町の遊歩道マップでは、取水堰の先の急な上り坂を越え、階段と吊り橋を経て清流沿いを進むと、源泉にたどり着くルートになっています。同じマップでは、階段から吊り橋につながる部分が一部崩れているとして、足元への注意も呼びかけています。源泉周辺では、柵の中の遊水池に立ち入らないよう町がお願いしています。
ただ、今回はさらに森の奥へ入っていくことに少し不安を感じたため、途中で引き返しました。
特に気になったのが、クマです。この日にクマを見かけたわけではなく、尚仁沢の遊歩道での目撃情報を確認したわけでもありません。ただ、塩谷町のクマへの注意を呼びかけるページは2026年8月27日にも更新されていて、一人での行動を避けることや、鈴やホイッスルで音を出しながら歩くことを呼びかけています(塩谷町「クマとの事故を防ぐために」)。
今回は無理をせず、ここまでで戻ることに。源泉までたどり着けなかったのは少し心残りですが、途中まででも尚仁沢のきれいな水と森の雰囲気は十分に楽しめました。次は準備を整えて、源泉まで歩いてみたいと思います。
ひとことメモ
尚仁沢の遊歩道は、歩いている間ずっと水の音が聞こえる場所。水音が大きいところでは、こちらの気配も伝わりにくくなります。散策する際は、クマ鈴などで音を出しながら歩くと安心です。
水を汲みたいなら「尚仁沢名水パーク」へ
「尚仁沢湧水の水を汲みたい」という人は、今回歩いた遊歩道とは別の場所にある「尚仁沢名水パーク」へ。源泉から直接水を引いた水汲み場があります(塩谷町「尚仁沢名水パーク」)。
ただし塩谷町によると、この水は殺菌消毒などの処理をしていない生水です。飲み水として汲む場合は、煮沸や殺菌消毒などの処理をして、自己責任で使うよう案内されています。1回の水汲みはポリ容器5本まで、給水のためのホースの使用は禁止です。
なお、隣の塩谷町交流促進センター(旧はーとらんど)は、町のサイトで現在閉業中と案内されています(2026年10月5日確認)。
「源泉まで歩きたい人」と「水を汲みたい人」では向かう場所が違うので、初めて訪れる場合は注意してください。
尚仁沢湧水の基本情報
| 名称 | 尚仁沢湧水(しょうじんざわゆうすい) |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県塩谷郡塩谷町上寺島1614 |
| 料金 | 無料 |
| 駐車場 | 20台・無料 |
| 源泉まで | 駐車場から徒歩約30分取水堰の先から急な上り坂 |
| 水温 | 四季を通じて11℃前後 |
| 注意点 | ヤマビル、急な上り坂、クマへの備え |
| 問い合わせ | 塩谷町産業振興課 0287-45-2211 |
| 公式情報 | 塩谷町「尚仁沢湧水」 塩谷町「遊歩道マップ」 とちぎ旅ネット「尚仁沢湧水」 |
※所在地・料金・駐車場はとちぎ旅ネット、源泉までの所要時間と水温は塩谷町の案内によるものです(2026年10月5日確認)。遊歩道の状況は変わることがあるため、出かける前に塩谷町の最新情報を確認してください。
よくある質問
駐車場から源泉まではどれくらいかかりますか?
塩谷町の遊歩道マップによると、駐車場から源泉までは歩いて約30分です。取水堰の先から急な上り坂になるので、歩きやすい靴で出かけましょう。
駐車場はありますか?
あります。とちぎ旅ネットによると、駐車場は20台で、料金は無料です。
尚仁沢湧水の水は汲めますか?
水汲みができるのは、遊歩道とは別の場所にある「尚仁沢名水パーク」です。殺菌消毒などをしていない生水なので、飲む場合は煮沸などの処理をして、自己責任で利用するよう町が案内しています。
ヤマビル対策は必要ですか?
必要です。栃木県農政部の紹介でも、ヤマビルがいるとして長めの靴下がすすめられています。肌の露出を少なくし、散策を終えたら足元や服を確認しておきましょう。
源泉まで行かなくても楽しめますか?
今回は途中で引き返しましたが、序盤の取水堰、木々に囲まれた森の道、川底まで見える水辺、苔むした倒木など、見どころは十分にありました。体力や天候に合わせて、歩く範囲を決めるとよいと思います。
まとめ
川底まで見える澄んだ流れと、岩の間を激しく流れる渓流。歩く場所によって景色が次々と変わり、水辺へ向かう森の道まで楽しめる場所でした。
- 名水百選の湧水。水温は四季を通じて11℃前後
- 駐車場から源泉までは徒歩約30分。取水堰の先は急な上り坂
- 木の根が伸びる森の道、苔むした倒木や岩も見どころ
- ヤマビル対策に長めの靴下を。散策後は足元や服をチェック
- 水を汲むなら尚仁沢名水パークへ。生水なので煮沸などの処理を
今回は源泉まで行かず途中までの散策でしたが、それでも静かな森ときれいな水を十分に楽しめるスポットでした。

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